住宅専門紙「新建ハウジング」の発行人(社長)が、
住宅ビジネスのヒント・トピックをつづります。


2011年02月08日

スタイルで勝負する

新建ハウジングプラスワンの2月号で長い特集記事を書きました。「暮らし提案の仕方、コト売りのすすめ」とタイトルで、今回も「住宅産業大予測2011」につづき、物語スタイルでまとめました。

以下に少し抜粋してみます。

コト売りの基本はふたつあります。

ひとつは、自らの価値観を磨き、それをモノとサービスに落とし込み、自社ならではの「スタイル」を築くこと。

もうひとつが、その価値観に共感し顧客になってくれた人の姿を見込み客に見せることです。


世の中すべての人に自社の家を「なんかいい」「これが欲しかった」と感じてもらうことは不可能です。嫌われないことを目指せば目指すほど、八方美人な提案や無難なプロモーションになり、感性に響かないものになっていきます。

大企業はまだしも、小さな会社は、一部の人には嫌われてもいいから、一部の層には「とっても好き」「これこそが欲しかった」と共感・感動してもらえるような「尖った」スタイルを目指すべきです。お手本とすべきは、バイクのハーレー・ダビッドソンです。


■スタイルとは何か

では、スタイルとは何でしょうか。

「ライフスタイル」という言い方をします。ここにもスタイルという語句が入っていますが、ライフスタイルとは「その人の価値観や人生観、アイデンティティを反映した生き方」です。

同様に、会社にとってのスタイルとは、「経営者・会社の価値観や経営哲学、美学、アイデンティティを反映した生き方」です。


工務店さんの場合はこれらを建物やサービス、顧客対応、プロモーションツールなど「すべて」に落とし込み守ることで「スタイル」が生まれます。


スタイルが明確なるということは、「らしさ」=個性が明確になるということです。

明確になればなるほど、同じ価値観を持つ層には「とっても好き」「これこそが欲しかった」と共感・感動してもらえる確率が高くなります。

つまり、スタイルを明確にするほど、自社の「理想の顧客」が集まるようになります。

 
■オーナーの暮らしを
 
そんな「理想の顧客」の暮らしと建物をそのまま見せるのが、最も簡単で効果的なコト売り型のプロモーションです。

これによって、自社のスタイルと、それに共感し家を建ててくれた・リフォームしてくれたオーナーのライフスタイフを同時に伝えることができます。

手法としては、工務店さんが実践されている「オーナー宅見学会」やオーナーを招いての勉強会がその代表です。ウェブやパンフレットなどに載せる「お客様の声」や「事例」も同様の効果を発揮しますが、やはりリアルな見込み客とオーナーとの接触機会をつくるほうがより効果的でしょう。


建物のスペックやそれを実現する工法や設備の内容をいくら伝えられても、見込み客が「なりたい未来の私」や「幸せ」な暮らしをイメージすることは難しい。というか、イメージできないでしょう。

ですが、オーナーの暮らしぶり、「らしく」住まわれている建物を何軒も見ていくと、見込み客は「なりたい未来の私」や「幸せ」な暮らしのイメージを膨らませていきます。

それと自社のスタイルが一致してくれば「とっても好き」「これこそが欲しかった」という共感・感動につながっていきます。

紋切り型ではありますが、基本的にはこんな感じではないかな、と考えています。


「スタイル」というのは大事だと考えています。

スタイルとは、ここで書いているように、「経営者・会社の価値観や経営哲学、美学、アイデンティティを反映した生き方」だというのが僕の理解で、スタイルで勝負するのが理想です。


生活者も、自身のスタイル(ライフスタイル)に合いそうな、もしくはそれを実現してくれそうなスタイルをもつ会社を選びます。

ひらたく言えば価値観が合うということですが、それには価値観を発信し、また啓蒙(教育)していくことが大事で、それが「旗を掲げる」ということだと思っています。


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2010年12月31日

2011年住宅産業の裏キーワード2〜ほどほどの国、ほどほどの家〜

「皇潤」というシニア向けサプリの新しいCMがTVで流れていてはっとしたので、2010年の終わりにそのことを書こうと思います。

このCMは坂本九の「明日があるさ」をテーマソングに使い、戦後の経済成長の様子をモノクロの映像で流しながら、八千草薫のナレーションで「あのころには希望も情熱もあった」「(あのころのように)まだまだ楽しみましょうよ(だからこれを飲んで元気に)」とメッセージを送るもので、この手の商品のプロモーションとしては結構よくできていると思いました。

僕がはっとしたのは、確かに1960年代からバブルの頃までは「(もっといい)明日がある」と信じることができた時代だったんだなあ、ということです。右肩上がり、「坂の上の雲」を見ながら坂を駆け上れた時代―。


でも、今の日本は頂点を過ぎ、下り坂に向かっていて、「昨日とは違う明日」が見えない。もう大きな変化はなくて、ゆっくりと落ちていく。そんな状況にあって、特に特に若い世代はそれをもう肌で感じている。

だから、「幸せってなんだっけ?」となるし、「草食化」「嫌消費」にもなる。えいやで言えばそんな感じかな、と捉えています。


一方で、政治家を含めたシニア層(権力層と言ってもいいかもですが)は、いまだ「坂の上の雲」志向で下り坂に入ったという実感がもてない。しかも、右肩上がりのときは欧米のキャッチアップを目指していればよかったけど、今はヨーロッパを参考にしながら日本がモデルをつくるしかない状況に入っている。

民主党が政権をとっても、期待ほどの成果をあげていないように映るのは、もちろん政治家個々の力、政党の、内閣の力もあるのでしょうが、これまでとは違う下り坂社会・経済に入ったなかでのビジョンをつくれず、何をしたらいいか分からないまま右往左往している、というのが実際のところではないか、という気がします。


「住宅産業大予測2011」では、若年層のニーズ分析のなかで「ほどほど」という言葉を何度も使いました。この「ほどほど」というのが、若年層の、そしてこれからの日本という国のかたちを表すキーワードだと思えてなりません。

住宅市場もこの視点で捉えていくと違和感がないと思いますし、そのなかで中古住宅市場も必然的に伸びていくと考えています(ただし「ほどほど」以下の超ローコスト新築住宅が「がんばりすぎて」この必然を破壊する可能性はあります)。

もう住宅産業も、日本という国も、ダウンサイジング=小型化するなかで利益を見出す―を本格的に検討すべき時に来たのでしょう。


すでに若年層を中心に、大半の人の暮らしはダウンサイジングに入っています。ただ、それがデフレ的ダウンサイジング一色では辛いかんじで楽しくもない。

一昔前の日本の暮らし+ネット・ITによるつながり・シェア+健康・快適・自然コンシャスな住まい、みたいな暮らし方が、現代の日本らしい豊かさ・楽しさを感じることができるダウンサイジングな暮らし方=新しい「ほどほど」かなと思っていますし、それを「パッシブ」というキーワードでくくって提案できれば、と思っています。

これもえいやで言ってしまえば、江戸時代みたいなイメージですね。ずっと同じような明日が続くという「あきらめ」の一方で(「維新」「竜馬」待望論がマグマとしてありながらも)、そのなかで楽しく豊かに暮らすための知恵や文化が生まれ、それが海外でも高く評価されていく。


あまり明るいものではありませんが、「ほどほど」「ダウンサイジング」も2011年の住宅産業の裏キーワードだと思っています。



※本年もこのブログを、そして新建ハウジングをお読みいただきありがとうございました。
新建ハウジング編集部は公式には4日までお休みをいただき、5日から始動いたします。



 
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2010年12月30日

2011年 住宅産業の裏キーワード

2011の住宅産業の裏キーワードのひとつが「分解×コラボ」だと考えています。ここは「住宅産業大予測2011」で書き足りなかったところです。


どういうことかというと、既存のプレーヤーの機能を分解し、強みを持ち寄ってコラボする。


たとえば、住宅会社の機能をマーケティング、営業、設計、施工、アフターなどに分解し、たとえば施工・アフターが得意な住宅会社はその強みに特化し、マーケティング・営業・設計が得意なところとコラボする。こんなイメージです。


設計事務所も、設計監理という従来の仕事から抜け出し、企画・マーケティングに特化するという生き方もありでしょうし(実際まちづくり分野などではそんな人も出てきています)、全国の住宅会社に図面(プロダクトハウス)を売るという生き方もありでしょう。


住宅ネットワークも、従来の住宅会社支援という機能を分解し、住宅会社を束ねているという強みをプラットフォームに昇華させ、いろんな異業種とコラボするなかで受注の窓口となり、会員会社に仕事を振っていく(たとえば低層木造公共物件とか木造店舗とか)。そんな分解×コラボもありです。


こうした分解×コラボがうまく機能する条件が、コラボする同士の情報・プラットフォームの共有があります。ここが課題でしたが、今やネット(クラウド)やCADの進化によって実現可能なところまで来ています。

また、分解×コラボによって異業種の参入が容易になります。異業種を含めた強みの持ち寄りによってイノベーション(新しい満足)が生まれる可能性がある。

そういう意味でも、2011年はイノベーションが進む予感がありますし、逆に進めなければとも思います。
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2010年12月20日

旗を立てる。上を向いて歩く。

「旗色鮮明」という言葉がありますが、旗を立てるのは大事だと思います。

旗というのは目印ですから、少し遠く、目指す場所に立てるのがいい。そして、そこを目指して、みんなで歩いていく。

この旗が目指す理想像で、ビジョンです。


売上げ・利益というのは足元の話です。足元を見ていないと転んでしまいますが、足元ばかり見ていると気がつくと来たくなかった場所に来ていた、道に迷ってしまったということになりかねません。

また、下ばかり向いていると、気分も暗くなってきます。ちらちら足元を見ながら、上を向いて、旗の位置を確認しながら、歩いていく。「上を向いて歩こう」という言葉は、経営においても至言だと思います。


旗に向かって歩いていくときも、その旗と同じ色の旗を掲げながら、誇らしげに行進していく、というのが理想だと思います。

なびく旗を見て、その旗の下に集まってくる人がいる。そんな人たちが、仲間であり、「理想の顧客」だと思います。そんな人たちと、理想の場所に向けて行進していくのは、心強く、そして楽しい道のりだと思います。


ここ数年の政治は、国のビジョンを描き旗を立てる人がいないうえ、足元の政局―陣取り合戦にばかり夢中になっているように見えます。

これでは迷走して当然ですし、旗も掲げていないので国民も集まってこないし歩いていくべき方向も見えない。政治不信が広がるのも、国としての競争力が低下するのもあたり前だと思います。

また、足元ばかりみているので、気分も暗くなり、悲観論が広がっていきます。先日会った経済人が「いっそ日本は一度破産すればいい。そうしたら韓国のように、強いリーダーのもとで再生できるかもしれない」と話していましたが、「焼け野原願望」すら出てきています。


旗を掲げる。上を向いて歩く。苦しい時だからこそ必要なのだと思います。
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2010年12月05日

「みんなでつくるいえ。」〜施主と工務店のいい関係〜

連載・取材でいつもお世話になっている岡庭建設さんが「グッドデザイン賞」を受賞、その快挙を皆でお祝いするパーティが開かれたので、出席させていただきました。

出席のお返事をするのをころりと忘れていて直前に参加をお伝えしたので、スタッフの皆さまにはご迷惑をおかけしました(申し訳ありません)。


会場となったホテルの広間は施主の方が3分の2、残り3分の1は仲間の工務店さん+業界関係者といったかんじで満杯。施主の方を優先するために、協力業者の方は代表者のみの参加としたとのこと。

グッドデザイン賞の受賞については新建ハウジングでも取り上げさせていただいたので、以下に今日印象に残ったことを書こうと思います。


岡庭建設さんでは施主のことを「おかにわファミリー」と呼んでいるそうですが、その呼び方どおり、今日いらしていた施主の皆さんと本当に家族のような距離感でお付き合いしているんだな、と感じました。

アフター=「家守り」(いえまもり)を徹底していることが施主の皆さんから評価されていることを、そのスピーチで理解できましたが、それに加えて家族のような距離感が「何かあってもすぐに相談できる、面倒を見てもらえる」という信頼感につながっていることが分かりました。

特に連載をしていただいた池田専務さんは、施主の皆さんから「隊長」と呼ばれ愛されていました。ある施主の方などは「隊長ファンクラブの会員第一号です」と挨拶でおっしゃっていて、僕もたくさんの工務店を取材していますがここまで施主の方から愛されている例を知りません。


どうしてここまで施主といい関係を築けるのだろうと考えていましたが、施主の方のスピーチの中に「アイデンティティー」「誠実」という言葉が出てきて、おお、と思い、ここにひとつのヒントがあるように思いました。きちんと取材しないとみなまで言うことはできませんが、単に「施主とマメに付き合う」ということだけでは、ここまでの関係は築くことはできません。

池田専務さん自身の、岡庭建設としてのアイデンティティーとして「いい家」を追求し、そのなかで「地力」を磨き、これらを背骨に住まい手に「いい家」とそのつくり方をきちんと伝え、啓発する。それも「家づくりは楽しい」「そこに暮らすことはもっと楽しい」というスタンスで。これがベースにあるからこその関係なんだろうと感じました。

今回のグッドデザイン賞の受賞はその「地力」がもたらしたもので、施主のみなさんにとっても「やっぱり地力のある工務店で建ててよかった」と再確認する、また誇りに感じるいい機会になったと思います。


また、岡庭建設さんでは「おかにわワークス」と呼ぶ大工会+協力業者会を組織されているそうですが、その代表を務める大工さんのスピーチからは、こうした意識とスタンスが職方の間でも共有されていることが伝わってきました。

岡庭建設さんのキャッチフレーズは「みんなでつくるいえ。」とのことですが、「チーム」と呼ぶ結束力の強い社員さんが一丸となってつくるのはもちろん、施主と職方を含めて「みんなでつくるいえ。」なんだ、それを有言実行しているんだということを感じました。


僕は、工務店は存続が基本で「応援されること」がその条件だと考えています。「みんなでつくるいえ」を突き詰めた結果、「みんなから応援される会社」になってきた―もちろん実際にはまだ課題や悩みもあるのでしょうが、そんな道をたどっていらっしゃるように見えました。


いい勉強をさせていただきましたし、施主と工務店のいい関係を見て、感じることができて、うれしくなりました。
posted by miura at 23:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 住宅ビジネスのヒント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月04日

住宅プラットフォームの可能性〜新・あたり前の家ネットワークのキックオフミーティングから〜

12月2日に「新・あたり前の家ネットワーク」のキックオフミーティングに出てきました。「小さな家。計画」というプロダクトハウスをネットで販売するというプロジェクトとミックスされ、新しい展開をスタートする、ということでした。

僕も関係者が全員連載者・顧問ということでスタート時には話を聞いていましたし、お世話になっている恩返しもしなければ、ということで、シンケンの迫英徳さん(新建ハウジングの顧問をお願いしています)、伊礼智さん(顧問+連載をお願いしています)をパネラーに迎えてのディスカッションのモデレーターとして二人にお話をお聞きしました。

迫さんをスティーブ・ジョブズに重ねて論じた当日の内容については新建ハウジングの誌面でお伝えしようと思っていますが、ここでは別の視点でこのミーティング参加して僕なりに感じたことを書いてみようと思います。


感じたのは「プラットフォーム」としての可能性です。

ぶったぎって言うと、このプロジェクトのモデルは、建築家や工務店から「プロダクトハウス」、言い換えれば「図面」を集めてデジタル化し、それをもとにビジュアルな3Dに仕上げてネットでプロモーションし、住まい手からのアプローチには運営会社がネット(メール)で応対、契約以降は地域のプレカット工場(もしくは工務店)がその図面などのデータをもとに製造(建築)を行う、というものだと理解しています。

製造のプロセスは今後詰めていくということなのでしょうが、目指しているのは「設計」「販売」「施工」の分離―「製販分離」だと感じました。ただし、デジタル化+ネットによって、プレイヤーは分離してもデータは一気貫通で共有され、効率的に家ができていく。ここが新しくて、また「プラットフォーム」となる可能性を秘めている部分だと思います。


工務店(ハウスメーカー)の家づくりは、基本的に「設計」「販売」「施工」が一体となっていて、そこが強みになっていると言えます(ブラックボックスもありますが)。設計事務所による家づくりは、設計と施工は分離していましたが、販売は建築家もしくは施工者が行っていて、完全な分離モデルとは言えません。

これらの一体型モデルの場合、「設計」「販売」「施工」がきちんとバランスしていれば受注に困りませんが、どこかが弱ければしんどくなる。多くの工務店、設計事務所が苦境にある理由はここにあり、逆にはこの3つが高いレベルでバランスしているのが「行列ができる工務店・設計事務所」です。


今回のプロジェクトが「プラットフォーム」として機能すれば、工務店や設計事務所は自分の得意分野だけで生きていくことも可能になります。

たとえば、販売(プロモーション)が苦手な設計事務所(もしくは工務店)が過去の設計図面を「プロダクトハウス」として、ここで販売し、収益とする(設計の得意な工務店が、自社のエリア外で自社のプロダクトハウスを販売する手段としても使えますね)。

逆に、設計が苦手な工務店が、そんなプロダクトハウスを自社の商品として販売する。設計も販売も苦手な工務店は、工務のみに特化する(ハウスメーカーが自社商品をここで販売する、逆に施工を受ける、ということも可能かもしれません)。

こんな自由である種合理的な生き方も、データ(フォーマット)とルールを共有する「プラットフォーム」があれば見えてきます。


ただ、こうした「製販分離」型の家づくりが顧客=住まい手に受け入れられるかは、新しいしくみですから、未知数です。

メリットとしては、プロダクト化することとリアル営業をカットすることによる省コスト効果+ワンプライス(定価)の分かりやすさ、を挙げることができます。設定次第ですが、このデフレ+価値観変化(=家にそんなにお金をかけなくてもいいんじゃない?)のなかでアピールする可能性は十分あります。

逆に、顧客の不安としては、「製販分離」、正確には設計もアフターも分離していても「安心」だという納得が得られるかどうか。ここはしくみと「顧客の声」などによってカバーしていく必要があるでしょう。ただ、マンションを買うと思えば同じようなもの、マンション派には抵抗がないかもしれません。


他にもたくさん可能性も不安点もありますが、最後に挙げておきたいのは、これは「ネットワーク」ではなく「プラットフォーム」になる可能性がある、という点です。

僕は、閉じたネットワークには「参加の限界」があると思っています。参加者のメリットとネットワークの拡大は、ある規模を超えると相反し、矛盾を生みます。逆に言えば、参加者を絞ってでもとことんクローズにし、その中でメリットをとことん共有し、尖鋭化・ブランド化していくという生き方が、これからのFC型住宅ネットワークの方向性だと思います。

一方、「プラットフォーム」は開かれた「基盤」「機能」ですから、一定のフォーマットとルールを守り、相応の負担をすれば、誰でも参加できる、自分の必要な機能だけ利用できるというオープン性が基本です。どちらが発展性があり、参加者が増えるかかと言えば「プラットフォーム」であり、だからこそネットを代表にあらゆる世界で熾烈なプラットフォーム競争が加速しているのでしょう。


このプロジェクトがこうした「プラットフォーム」となるのかは、これからです。また、こうした「プラットフォーム」は今後、様々な「流派」が立ち上げていくことになるのでしょう。

ただ、このプロジェクトについては、伊礼さん、迫さん(シンケン)、木造ドミノ住宅研究会などプロダクトハウスの提供者がすでに参加し、バックヤードには物流を担う商社、プロモーションとデータ作成・管理を担うIT企業、製造を担うプレカット工場・工務店などが参加している。アドバンテージはあると感じています。

「あたり前の家」という「難しい」ネーミングでスタートしたこのネットワークですが、真に「プラットフォーム」として進化すれば、「いい家」が「あたり前」に建っていく、流通していく場となるかも。そんな可能性を感じた一日でした。


※この記事は、僕独自の分析・予測が多分に入っています(特に「プラットフォーム」に関する部分は僕が考えてきたことです)。現時点のこのプロジェクトの活動・方向性と異なる部分も多分にあると思います。その点ご理解ください。
posted by miura at 11:15| Comment(4) | TrackBack(0) | 住宅ビジネスのヒント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月01日

新築注文住宅は過剰品質?

最近団塊世代以上の世代を「逃げ切り世代」と言い、年金や退職金などの格差から若い世代の不満が出てきているという話を耳にしますし、実際そうなのだと思います。

しかし、経済格差は高齢層とそれ以下の層だけでなく、それ以下の層の中にも存在します。

たとえば、現在の30代前半の平均世帯年収は、10年前と比べて100万円、調査によっては200万円ほど低下しています。30代の平均世帯年収は400万円台、300万円台が標準になっている。わずか10年前と比べてもこれだけの格差があるのです。

しかもこうした標準年収やそれ以下の世帯では特に、将来的に年収が上昇していくことはそう期待できない。このままこの年収で定着してしまう可能性も高いとみています。

ざっくり言えば、バブルを経験した層としていない層で格差があり、バブルを経験していない団塊ジュニア以下からは(就職からして上の世代よりも苦労しているので)、この格差に対しても不満の声や逆にあきらめの声があがっています。


こうした格差から、日本の中間所得層(年収600〜1500万円)、言い換えれば「中流」がどんどん抜け落ちています。ざっくり言えば、この10年で「中流」は2割減り、「低所得層」「下流」(年収300万円以下層)は1.3倍増えました。


これでいいのか、年収だけで比較していいのか、という視点をここでは脇において、住宅産業にとっての現実的な視点のみで話を進めていくと、こうした顧客層(予算)の二極化が進む中で、自社のターゲット層やポジショニングを明確にする必要に迫られています。

まず、若年層の所得が全体的に下にふれるなかでも、高所得層は2割強存在します。これを「2割も」と捉えるのか、「2割しか」と捉えるのか。

もうひとつの切り口は、残り8割の所得・予算に余裕がない人にとって、新築注文住宅は「過剰品質」ではないのか、という視点です。この層に、標準化された標準化住宅(プロダクトハウス、企画住宅)もしくは中古住宅+リノベーションを「まず」提案する。余裕のある2割にはフルオーダーの新築注文住宅を提案する。これは極めて現実的な提案だと思っていて、いろんなところでお話しし、書いています。


個人的には、所得によって暮らしの質が極端に差がついていいのか、と考えています。思い通りにできるかどうか、大きいか小さいか、もしく新しいか古いか。そこを自分の予算に合わせて選択することで、自分にあった豊かな空間を手に入れることができる。そんなルートが必要だと思っていますし、そんな合理的な選択をする住まい手が確実に増えていく予感があります。中古住宅はこの文脈の中で若年層におけるシェアを増やしていくはずです。


ただ。もう一つ手があって、それは土地のコストを引き下げることです。これについては追って書きたいと思います。
posted by miura at 13:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 住宅ビジネスのヒント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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