僕はこういう人たちが嫌いではない。そして実際かなわないな、と思う。彼・彼女たちには時間も経験も、そして概してお金もある。僕ら(僕と言ってもいい)には時間も経験も、そして概してお金もない。情熱や体力は負けないぞ、と思っても、現状に疲弊し擦り切れている若年世代はこれらでもかなわないかもしれない。
まあ情けない話だがそこはとりあえず置いておいて、意欲のある団塊世代の人の知見や人脈に助けてもらう、といったことが必要だと思っていて、住宅産業でも退職した方がどんどんコンサルタントなどとして起業したり、顧問として別の会社に入ったりすればいいな、と思っている。このことは以前のエントリでも書いた。
もうひとつ、社会起業家というのはどうか、と思っている。横文字でいうと「ソーシャル・アントレプレナー」で、わかりやすく言えば「社会問題を起業家精神で解決する人」。「ソーシャルベンチャー」といった言い方もされる。3、4年前に話題になったが、個人的にはドラッカーに親しんでいたのでこういった生き方もありだなあ、と考えていたりもした。で、勝手な物言いだが、団塊世代の皆さんに社会起業家を目指してみるのはどうか、もしくは若い社会起業家のサポーター(実務・資金両面)となっていただくのはどうか、と思っている。
先日、未来を変える80人 僕らが出会った社会起業家
モデルは単純だ。5年ほどで成長するユーカリなどを植林し、丸太や板材として販売する。その伐採量は植林した量の5分の1までとし、持続的な経営を目指す。奥地まで伐採したり輸入したりするよりもコストが安く済むため、2割安で販売できるという。
やるな、と思ったのは事業の立ち上げの話だ。
まず、中国政府から2万ヘクタールの土地を50年契約で借り受け、地代として年間生産量の30%を国に納めることになった。(中略)このバイタリティはすごい。
世界じゅうの林業を手がけるカナダの投資銀行に対し、中国市場の今後の可能性を示しながら説得を試みる。こうして、彼は500万ユーロの融資を獲得、トロント第二の市場に上場する。
現在は60万ヘクタールの「森」を経営し、2004年の売上高は2億5000万ユーロ、純益は3200万ユーロを超えている(1ユーロ=約150円)。木材加工場ももち、合板やおがくずの製造も行っているという。この本では、創業経営者のアレン・チャンのこんな言葉が紹介されている。「地球環境を破壊しなくてもお金を稼ぐことはできるのさ」。
「思い」だけで企業して成功するのは難しい。特にベンチャーの場合は資金や人脈、メンター、そして企業としての「システム」が不可欠となる。そこを団塊世代の皆さんがカバーできるのではないか、と考えている。
(写真はシノフォレストのホームページ)