住宅専門紙「新建ハウジング」の発行人(社長)が、
住宅ビジネスのヒント・トピックをつづります。


2014年03月31日

誠実マーケティングのすすめ2

2009年10月の記事です。語り方は今よりのんびりしていますが、言っていることはほとんど変わりませんね。

[ここから]
最近の住まい手、とくに30代を見ていて感じるのは、スマートな消費をするということです。

スマートとは、ものをやみくもに買わず、高品質×リーズナブルで自分の価値観に合うのものを、ネットヤクチコミなどを駆使しながら、吟味して買って長く使う、ということです。

そんな住まい手は「売り込み」「嘘」「テクニック」(=広告)にはうんざりしており、既存のテクニック型のマーケティングやセールスを受け入れないことが多い。正直な企業と人を探しているように見えます。


ですが、そんな住まい手は、工務店と最も相性がいい顧客層となるはずで、そのためには一層の「透明性」「誠実」「正直」が必要だと考えています。

そして、これらを徹底するなかで、自社の人、雰囲気、考え方、姿勢、ものさしに好感・共感してくれた人だけを顧客にする。そして長く良いお付き合いをし、顧客のコミュニティーを築き、顧客に支援してもらう。

こんなマーケティングの姿勢を「誠実マーケティング」と呼びたいと思っています。そのベースとなるのは理念とビジョン、つまりは理念経営です。

ポイントは以下のとおり。「 」の部分は工務店の家造りのキャッチフレーズとしても使えるのではないかなと思っています。まだ構想段階・机上論レベルですが、取材を通じて検証していくつもりです。

@フォーカスの徹底
 →「ならではの家づくり」

A情報の量・質の向上=コミュニケーション力の向上
 →「透明な家づくり」

Bいい家のものさし(家づくり憲法)の明示+アドバイザー化
 →「誠実な家づくり」

C標準化・仕組み化とTQM・評価・見える化の徹底
 →「正直な家づくり」

Cライフスタイル・コト・ヒトの提案の徹底
 →「物語のある家づくり」

E家守り・コミュニケーションの徹底による顧客満足・信頼構築
 →「お客様に寄り添う家づくり」

F顧客の声を活用したカイゼン、リピート・クチコミ・紹介の最大化
 →「お客様に支えられる家づくり」
posted by miura at 11:07| マーケティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月28日

しずかちゃんの父がのび太との結婚前にしずかちゃんに言ったこと

2010年3月の記事の再掲です。


営業スタッフに必要なスキルは何ですか?と聞かれたときに、「スキルについては実務経験者の方に聞いてください。顧客の立場で言えば利他の姿勢だと思います」と答えます。そうすると、多くの人は何をぬるいことを、という顔になりますが、わりと本気でそう思っています。

真に顧客の立場にたって、顧客目線で提案をする。口で言うのは簡単ですが、その底には「自分のため」「自社のため」の前に「顧客のために」という気持ちがないとウソで、それは利他の心が利己心に勝っていないとできません。

「いい」営業スタッフは、これが、マーケティング発想ではなく、自然と出来ている人が多くて、特に女性にはそういう方が多いように見えます(営業テクニックを高めて「できる」営業スタッフになっているのは男性が多いですね)


利他の話をするとき、「ドラえもん」のワンシーンが頭に思い浮かびます。

のび太は大人になってしずかちゃんと結婚することになります。その結婚前夜(たしか)、しずかちゃんは将来を少し不安に思います。そのときにしずかちゃんのお父さんがのび太を評して言ったセリフがこれです。

あの青年は人のしあわせを願い、人の不幸を悲しむことができる人だ。
それがいちばん人間にとってだいじなことなんだからね。


これが営業スタッフにとって、もしかすると設計スタッフにとっても一番大切な基本だと思うわけです。もちろん人としてもですが。
僕も表に出す出さないは別として、こういう人でありたいと思ってはいます。
posted by miura at 07:28| マーケティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月26日

「売りたい魂」と工務店の広報

売りたい魂.jpg


自分が売っている商品に惚れ込んでいるかどうかは大事ですね。
自信と誇りと情熱をもって提案できるかで伝わり方が違ってきて、それは成績や売上げも左右します。

そんな状態を、通販生活では「売りたい魂」と呼ぶそうですが、メディアでも住宅でも同じですね。

工務店には広報が必要だとずっと言っていますが、広報の役割のひとつに「社内への広報」があり、それは売りたい魂の醸造につながると思っています。

社内広報でも社外広報でも大事なコンテンツは顧客の本音ですが、つくり手の場合、オーナー(施主)の声を拾うのは広報の大切な仕事です。言い換えれば、オーナーのことを一番良く知っているのが広報。

そんな広報が工務店で増えればいいなと思っています。

posted by miura at 08:46| マーケティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月09日

価値観でつながるコミュニティ

「共感」というのはなかなか難しくて見えにくいのですが、マーケティングの中心になると思っています。というか、もうなりつつあります。


共感というのは感覚を共にできるということ。つまりは近い価値観をもっているということです。

価値観とは「何をいいと思うのか」「悪いと思うのか」という物差しです。まったく違う物差しをもっている人とは、物を見る尺度が違いますから、感覚を共にすること、分かりあうことは難しいでしょう。

逆に、価値観の近い人とは好きなモノ・コトが重なるので話も合いますし、一緒にいて心地よいですから、自然とつながっていき、きっかけがあればコミュニティへと育っていきます。


僕は「誠実マーケティング」などと呼んでいるのですが、これからのマーケティングは、企業が価値観を明確にし、それに共感した人が顧客になっていく。

似た価値観をもつ人はつながりやすいので、きっかけを与えてコミュニティへと育てていく。

そのコミュニティといい関係を維持し、リピートや紹介・クチコミで受注を最大化していく。

こんなスタイルが理想だと考えています。


この点「フェイスブック」は上手く設計されていて、「いいね」ボタンは、まさに「何をいいと思うのか」という価値観の表明・共感の「見える化」であり、似た価値観の人がつながっていくことを支援していると言えます。

さらには、企業の「フェイスブックページ」はそんな価値観でつながった人のコミュニティとして機能する可能性を秘めています(現在は物珍しさ半分で「いいね」する人が大半でしょうが)。

この点でフェイスブックは企業のマーケティングツールとしても面白いかな、と思っています。


家づくりにおいてもまったく同じです。

価値観でつながれる顧客と(だけ)仕事をする

その顧客同士のつながりをリアル・ネットでつくり、コミュニティへと育てていく

そのコミュニティに様々なサービスや楽しみを提供し、「一緒」に活動していく

価値観が近い人が集まるコミュニティなので、自分たちも楽しみながら長くいい関係を維持できる

そのコミュニティに見込み客を招き入れて「これがしたかった暮らしだ」「この仲間に入りたい」と感じてもらう=教育する(顧客に教育してもらう)

こうした過程で顧客の満足度と「愛着」を高め、リピート・クチコミを最大化していく

こんなマーケティングが可能なはずです。


価値観でつながるということが「きれいごと」という考え方もあるでしょうし、否定はしません。そう考える企業はそうではない切り口(「目立つ」とか「低価格」とか)でマーケティングすればいいと思います(ただ、「目立つ」「低価格」で集まる見込み客が自社にとっていい客層なのか、その客層と長くいい関係を維持できるか。結構しんどいと思います)。

また、オーナーのコミュニティに人・時間・金をかける余裕なんて、という現実の声もあると思います。でも、こちらにこれらをかけるほうがよほどパフォーマンスが高い。そう考えています。


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2011年02月03日

たしか型と楽しい型の差別化

差別化の切り口としては

1 人より上手くやる
2 人のやらないことをやる

のふたつがあると、前回書きました。


もうひとつの切り口だと考えているのが、

1 たしか型(モノ提案型)
2 楽しい型(コト提案型)

というものです。


「たしか型」というのは、基本的には地力を高めて「いい家」を提案するものです。集客・営業のプロセスは勉強会→見学会→放牧(追客しないでほったらかし)→先方からアプローチ→契約というかたちになると思います。

地力に自信があるから、他社もどうぞ見てきてください、追客もしませんから安心してくださいーというのが、逆に、売り込まれるのが普通の見込客からは魅力に映ります。

地力を常に高め続けるという宿命から逃れることはできませんが、それが苦にならない、むしろ好きなつくり手にとっては最適な差別化です。


「楽しい型」は、豊かで楽しい暮らしを、オーナーをモデルとして見せながら提案するもので、集客・営業のプロセスも、オーナー宅見学会や、イベントなどによるオーナーとの交流がコアとなり、引き渡し後もオーナーといいコミュニティをつくり共に楽しみながら暮らしのサポートをしていくことになります。

家を前面に出すよりも、暮らしや人を前面に出すコト売りが基本で、それは簡単ではありませんが、若い住まい手ほどこちらに心を動かされる人が増えているように感じます。


また、この両方を目指すという細い道もあり、うまくいけば理想です。建物の評価・評判に加え、暮らしの満足・楽しさ、そして人の評価・評判が高まっていけば無敵です。

ただ、その前提として、いい家とは何か、どんな暮らしが豊かで楽しいのかという自社なりの価値観をきちんと伝え、それに共感してもらえる見込客を集め、さらに「教育」し、それをきちんと実現し、フォローしていくことが必要です。

伝え教育する場としては、家づくり勉強会やオーナーの暮らしを伝えるイベントとても重要で、またプッシュ型メディアの価値もここにあると思っています。



 
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2011年01月10日

狩猟と採集と農耕

古代、採集・狩猟が、人口の増加や気候の変化、森林の伐採などの理由で立ち行かなくなったことから、農耕が始まったと考えられています。

農耕がうまく回るようになり収穫物を貯蔵できるようになると、食糧の確保で一日が明け暮れることがなくなります。多くの人口を養えるようになり、そのゆとりもあって文化が生まれます。


えいやで言うと、会社の経営、マーケティングも同じだと思っています。

採集(=地縁・血縁・オーナー(OB)からの受注)や狩猟(=プッシュ型の追いかけ営業)オンリーから農耕型マーケティングを併用するようになると、日々の受注に追われる行き当たりばったり経営から脱却できるようになります。そして、見込み客・受注残が貯蔵できるようになっていくと(「行列ができる工務店」になっていくと)、考えるゆとりが生まれることもあり、文化(=哲学・社風)が育ってきます。

逆に、農耕型マーケティングに取り組まない限り、蓄積→ゆとり→文化が生まれず、その日暮らしから抜け出すことができません。地道に農耕型を継続することも「行列ができる工務店」のポイントのひとつだと考えています。


日本の文明は森から生まれた、と言われます。

日本は気候に恵まれていたこともあり、世界の他の文明のように森林を伐採し尽くすこともなく、農耕が始まって以降も採集と両立させていきます(特に里山で)。

それが日本独自の共生文化の形成につながったという指摘があり、個人的にはそれに共感していますが、同様にオーナーという森をきちんと維持し育て、そこからリピート・クチコミ・紹介を毎年採集していく。この採集(=家守り)を農耕型マーケティングと並行してきちんと継続していくことも重要だと思っています。


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2010年10月15日

同じものをつくっていくうちに、いつのまにか個性は出る

職人、それも師の域に達した人ほど、「個性などそう簡単に生まれない」と言います。そして次に言うこともたいてい同じです。「まずは人まね・物まねから。まねるのにも技術がいる」。

僕は住宅設計でも、企業経営でも同じだと思っています(伊礼智さんも連載でそう書いていました)。

ところが、人まね・物まねで基礎をつくらないまま、いきなり(世に出るため、差別化のために)個性を目指す人も少なくありません。だが基礎がないのに個性をひねり出そうとするため、いきおい奇抜さに走ることになる。その奇抜さを個性として評価する閉ざされた世界やメディアがそれを助長する。

特に設計については、これを長く続けてきてしまった。その結果が今の日本の住宅であり、今の街並みで、結局設計事務所の多くが受注に苦しんでいる理由ではないか。そのように感じています。


ある高名な人形師が「同じものをつくるほうが難しいんです。同じものをつくっていくうちに、いつのまにか個性は出る。出そうと思って出るんじゃない」と言っていました。住宅設計もこれでいいのではないかと思いますし、企業経営もそうなのでしょう。

まずは武道と同じように、自分の流派(共感できる人や企業)を選び、その人まね・物まねで「型」を覚える。反復によって型が身体に染みついたら、臨機応変に動けるようになり、その中から自分なりの型が生まれていく。

いきなりオリジナルの型、それも世の中に通用するものが生み出せる人は、ほんの一握りの才ある人だけ。学校教育も、社会人教育も、まず型をしっかり教えることからかな、と思っています(メディアも同じすね)。
posted by miura at 04:39| Comment(0) | TrackBack(0) | マーケティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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