住宅専門紙「新建ハウジング」の発行人(社長)が、
住宅ビジネスのヒント・トピックをつづります。


2007年10月02日

雑感、住宅の基準と中国食品問題

最近中国産食品の問題が取り上げられることが多くなったこともあり、中国産と書いてあるだけで購入をためらう人も少なくないという。

では国産=いいものなのかというと、個人的にはわからない。○○○基準クリアなどと書いてあると、基準を満たしているから大丈夫と思いがちだが、こういう仕事をしていると感じるときが多いのだけれど、日本の基準は消費者よりではなく業界よりにつくられていて、基準自体のレベルが低い。特に欧州と比べると甘い。


住宅産業でも同じで、日本の建築関連の基準値や目標値は概してだが業界よりになっていて、欧州の基準と比べるとレベルが低い。

省エネ関連などは特にそうだし、聞く限りだが建材などの品質管理基準もいまは欧州の方が高いという。例えば、世界の工場である中国でも、欧州のメーカーから生産を委託されている工場は品質管理基準が高い。だから中国の建材事情に詳しい人は、「欧州向けに製品をつくっている工場と取引しなさい」などと日本の工務店などにアドバイスする。


こうした状況は「ものづくりの国」として少しヤバイのではないか、と思う。目指すは「世界品質」なのだろうが、その前段で負けている。

ただ、「業界」やメーカーなどつくり手からすると、コストダウン要求が強くて、という話になる。品質に見合った対価を消費者・需要家は払ってくれない、と。

じゃあどうして欧州では、という話なのだが、このあたりは最近つらつらと考えているので、追って書いてみたい。
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2007年09月07日

アウトプットがインプットを増やす

hudousan.jpgそれなりのレベルに達した人はどうなのかわからないが、僕の場合、情報のインプット量を一定以上確保していないと、満足のいくアウトプットが出来なくなる。誰でもそうだがアウトプットが商売なだけに、インプット量をいかに確保するかが課題なのだけれど、忙しいとそれがおろそかになる。するとアウトプットの量も質も減る。

だが、不思議なもので、苦しくてもアウトプットしていると(このブログもそうですが)、いろんな人を紹介してもらえたり、いろんなところからお呼びがかかったりと、インプット量が増えてくる。アウトプットし続けることは重要だな、と思う。

工務店さんなどでも、積極的にアウトプットしている方がいるが、見ている限りだが、きちんとインプット量も増えてきて、それが直接の仕事はもちろん、人生の充実とか豊かさな人との関係とかにもつながってきているように感じる。


僕の場合は、まだそれがいいバランスになっていると言えないけれど、一定量のインプット・アウトプット量を維持する努力は続けたいな、と思っています。



(写真は最近のインプット「不動産は値下がりする!―「見極める目」が求められる時代 」(中公新書ラクレ・江副 浩正 (著)
)。結論はひとつでそれは数ページで言えてしまう。だが丁寧に論拠が示されているうえ、背景なども整理されているので、不動産のいまをつかむのにはいい)
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2007年08月28日

国が200年住宅に本腰、住宅循環利用促進法を国会に

国土交通省が「住宅履歴書」(履歴情報)の制度構築に着手するとの報道が出た。国が信頼できると認めた履歴書のある住宅(で長寿命住宅の認定基準を満たし認定を受けた住宅)には減税措置を適用する、という。本日、国交省の来年度予算の概算要求が出て、その概要が明らかになった。これらを進めるために「住宅循環利用促進法」(仮称)なる新法を来年度の国会に提出するという。


「住宅履歴書」については先日新建ハウジングでも取り上げ、今後制度構築が検討されるのではないか、としていたが(そのときは「家歴書」と呼んでいた)、意外に動きが早い印象だ。

業界では「切れ者」と評判の新住宅局長の面目躍如といったところだろうか。これで打ち上げた花火は、「健康維持増進住宅」(トクホ住宅)に続いて2発目か。いいペースと言える。

ただ「住宅履歴書」のある住宅(=長寿命住宅の認定を受けた住宅)に減税措置、というのは、そうしたいという国交省の希望であって、今後の税制改正要望で認められれば、という前提条件が入る。今回の報道は、今日発表される国交省の概算要求と今後の税制改正要望を踏まえたタイミングでの国交省からのリークと考えるのが自然だろう。


さて、「住宅履歴書」については「いいこと」であるので、どんどん進めてもらえば、と思う。実際は住宅性能評価書+アルファといった感じになると思われ、国交省としては戸建て注文で伸びない住宅性能表示制度の利用率を底上げしたいという思惑もあるのではないか。

制度は国がつくるものの、現状では民間にデータベースなどの管理は任せるといった方針らしいので、民間企業にとってはビジネスチャンスになる可能性はある。ただ一方で、性能評価機関(もしくは住宅保証機構とか)がその担い手に、といったストーリーもあるのかもしれない。また国が長寿命住宅・履歴書に認定を与えるということであれば、「お墨付き」の常道としての天下り的な香りもする。

ただ、登録された履歴にモレやウソがないか公的機関が機関がチェックし、あれば罰則をという話も報道されたが、これは実質的に難しいのではないか。さてどうチェックするのか、確認検査とマッチングするのか。そこまでやるなら国がデータベースの運用までやった方が早いのではないか、という気もするが、どうなのか。


新法をつくって、住宅履歴書を整備し、認定制度を設けて、それに税制優遇などの金融誘導をくっつけて、住宅のメンテナンスの適正化=長寿命化とストック市場の活性化をうなし、そのついでに官製的ビジネスを興す。なかなか見事なストーリーだが、どうせやるなら徹底的にやってもらいたい。

逆に言えば徹底的にやらなければ、新築偏重の日本の住宅市場は方向転換できない(結果的に転換してしまう可能性はあるが、その場合屍が山と積まれた後になる)。市場の整備はもちろん、つくり手・住み手双方の思想の啓発などやることは多い。そこまでやる覚悟が国交省にあるかどうかだろう。

また、つくり手も、どちらにしても新築注文市場は縮むのだから、この流れに乗るの手もあるが、乗るなら本気で乗る覚悟が求められるだろう(もちろん乗らない覚悟があってもいい)。

乗るのなら、つくっている家の仕様・コスト、そしてデザイン、ビジネスモデルなどを、さらにストック型にスライドしていく必要がある。そして住み手に本気で啓発していく必要がある。


個人的には、消費者の視点から見て、「いいものを長く使うことで実現する豊かな暮らし」を広めていくことが必要だ、と思っている。

また、購買力的に中古しか買えない(買うべきではない)層がもっと増えてくる中で、ストック市場の活性化は必要も必要だ。

そのなかで、住宅の財産価値が維持・向上される世界が、徐々にでも形成されればいいな、と思っているし、こうした市場の中で「持続性」を基本とする工務店が家づくり・家守りの主役になるはずだとも思っている。
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2007年08月15日

雑感、地方都市の疲弊と住宅市場と工務店の生き方

ここ数日で、地方都市をいくつか回った。テンプレートで書くが、どこも同じような街並みで、どこも同じように疲弊していた。昼間人影はまばらで、歩いていても高齢者の方ばかり。若者の姿がない。シャッターを閉めている店が多く、以前あった店もなくなっている。

地方に来ると、東京の景気の良さを、相対的に実感する。もちろん東京でもまだら模様はあるのだが、投資マネーがごうごうと音を立てて流れているような感覚があるし、それが一部の大都市やアジアに流れていっている感じもする。

けれどもそうしたマネーは地方都市にはこないし、来てもリターンできないだろう。

こうした現状を見て、大都市から帰省した人は何を思うのか、気になる。そこから脱出できた幸運、自らの判断の正しさを喜ぶのか、なんとかしなければとか思うのか。何も感じないか。


経済と人が動かない町は、環境がよくて何か特色がある(いい海がある、いい温泉があるとか)団塊移住組の候補地以外は、住宅市場も結構なスピードで縮んでいくだろう。

そのなかで、地方都市の雄的な工務店が、大都市へと市場を求めて進出する事例が、もっと増えるのではないか。伸びる市場に乗ることは商売の鉄則のひとつで、地域密着の対極にあるが、これも生き方だ(もちろん、職人の問題など難しさはある)。


ただ、地方都市でもやりようもある、とは思っている。今日も某地方都市にいたのだが、後輩に聞くと、シャッターの閉まった商店街の一角を老舗の洋菓子店がリノベーションしてカフェや雑貨店にしたところ、そこに若者が集まるようになったという。

小さな成功事例に過ぎないが、センスと実行力さえあれば、小さな成功事例ぐらいは積み重ねることができる。これらを持つ人が何人か出てくるだけで、小さな地方都市なら変わり始める部分もあるのではないか。

こういった街づくりにも工務店は参加できる。また人と人、人と土地をマッチングすることもできる。工務店は地域のハブ(情報の集積地)だ、と言っているが、そうした役割を積極的に担うことが、仕事をつくることにもつながるし、また市場をつくることにもつながるはずだ。
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2007年08月08日

雑感、中小企業はどんどん連携・協働していくべきだ

うちの会社も中小企業なのだが、中小企業はやりたいことがやれるという大きなメリットがある反面、競争力の源泉となるリソース(資源)からするとやはり大手にかなわない。

一番のリソースは「人」で、大企業も人がこのご時世人が余っているわけではないと思うが、新規事業立ち上げの際には人が集められ、新規採用をおこし、外部から専門家を連れてくる余裕はある。

中小企業は、まあ実体験から言えば、新規事業立ち上げの際は「兼務」が基本となる。個々が相当ストレッチしてやっても、やはりスピード的には遅くなるし、首も回らなくなる。また中小の場合「自前主義」に陥るケースも多く、結局専門家でないのに専門家的な業務をこなすことになる。


そんななかで大企業とわたりあって勝っていこうとするならば、大企業以上のアイディア、大企業以上の勇気、スピード、個々のストレッチ・努力が必要だが、大企業だっていまは死に物狂いでやってきている。

そうなるとやはり中小企業はニッチ、オンリーワン、誰も手をつけていない海―ブルーオーシャンへ、などという話になるのだが、言うは易しだ。それに、当初はニッチ、オンリーワン、ブルーオーシャンでも、人に余裕のある、しかも売上増大を至上命題とする大企業にすぐに目をつけられ、侵食されてしまうことも多い。


中小企業の置かれている状況は実感としても楽じゃない、ということだが、でも悲観しきっているというわけじゃなくて、そのなかでまず考えるべきことは、中小企業の連携・協働じゃないかな、と思っている。

同業種でも異業種でも、志と目的が一致するなら、どんどん組んでいくべき。そう考えている。
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2007年08月05日

雑感、基準法改正と民から官への流れ

6月20日以降、新建ハウジングでは建築基準法の改正についてヒアリングを続けているが、つくり手からはいい話は聞かない。個人的にも、手続き上の問題はもちろん、告示の縛りの厳正化によってつくり手の工夫の余地がなくなることを心配している。


雑感レベルで書くが、小泉改革で明確になった「官から民へ」という流れを覆そうとする動き、「民から官へ」という流れがつくりだされつつあるような気がする。基準法の問題だけでなく、コムスンがらみの話、NOVAがらみの話もそうだ。「やっぱり国がしっかり統制しないとだめ、消費者に不利益が生じる」という雰囲気を醸造し、官の権限を拡大する、という流れはないのか、ということだ。


さらに言えば、こうした流れの根底にあるのは、公務員制度改革ではないか、という気もしている。

参院選前に成立した公務員制度改革関連法案の肝は、天下りの規制強化よりも年功序列制度の廃止だろう。安倍内閣は虎の尾を踏んだということで、霞ヶ関は今後も官邸と全面抗争する構えではないか。

日本は明治以来140年間、官僚が国を動かしてきた。そして官僚(中央官僚)は総じてだが一般的なレベルでいうと優秀である。

その官僚を、小泉内閣は支持率を背景に力技で押さえ込んだ。だが安倍内閣には支持率=国民の支持がない。内閣改造が行われても、霞ヶ関からのリークで次々と新閣僚がメディアの標的になるのではないか―そんな予感さえする。

これまた雑感レベルで書くが、理念とパワーと愛情をもった政治家(黒いところに目をつぶれば田中角栄がそうか)が官僚をうまくパートナーにしてぐいぐい国を引っ張っていくことはできないものか、とも思う。


基準法に話を戻せば、問題を感じたなら業界としてストレートに声を上げていかなければ何も変わらない。当事者の意識が必要だと思う。そして、そうした声を代弁していくのも、新建ハウジングの役割だと思っている。
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2007年08月03日

雑感、家を買ったら10年で4000ポンドが45万ポンドに化けた英国

日経ビジネス7.30の特集「成熟国型インフレがやってくる」が、そのネーミングも含めて面白かった。

成熟国型のインフレについて、1人口減少 2消費の高度化 3歴史的円安という切り口から解説している。「マックやユニクロも脱デフレ」などという事例も紹介されていて、これも実感としてよくわかる。

詳しい内容は本誌を読んでいただければと思うが、個人的に一番興味を持った、特集の最後で紹介されている「抗インフレ経済へ 英国がたどった道」という記事について、以下に内容を抜粋したい。

英国は現在産業革命以来という15年に及ぶ景気拡大を謳歌している。(中略)2000年に入ってからは常に2−4%の経済成長を達成してきた。(中略)今年1−3月期の消費者物価の上昇率は2.9%である。(中略)7月5日には昨年8月からで5回目になる利上げを実施し、政策金利を5.75%にした。
順調な成長と、ほぼ適正なインフレ率と金利、という、バランスの取れた経済になっているように見える。

インフレは進行しているが、賃金も毎年3−5%上昇しているため、生活の不安はそれほどないという。また資産価格も高騰しているという。本文には年収2500万円というウッド氏の事例が紹介されている。
ロンドンの中心部に(96年に)買ったマンションの価格は当時8万5000ポンド(頭金4000ポンド:1ポンド=約240円)。(中略)だが、わずか1年半後には市場価格が2倍の17万ポンドに高騰、ウッド氏はそれを売却して17万ポンドを手にした。
次にウッド氏は、郊外に築110年のテラスハウスを15万5000ポンドで購入する。2005年10月にはそれを23万5000ポンドで売却し、同じ地域の新築物件に買い替えた。面積115uのマンション価格は33万3000ポンドである。それも年内には手放すという。最近の市場価格が45万ポンドにまで跳ね上がったからだ。10年余りで4000ポンドが45万ポンドに化けた。
すさまじく、そしてうらやましいわらしべ長者ぶりだ。これをバブルと呼ぶのは簡単だが、米国も含めて住宅の財産価値の持続的な上昇が、個人を、そして消費を潤しているのは事実だ。特に、供給過剰が恒常化している日本と違い、英国の年間住宅着工は20万戸程度と少ない。常に市場に飢餓感があることが価格の上昇を後押ししている。また、既存住宅をリノベして使う動機にもなっている。

日本がこの英国のような状況に近づくまでには長い時間が近づくだろうし、結局は無理かもしれない。個人的はそうした世界を目指したいと思っているが、家づくりや住宅行政を越えた、経済政策全般の変革がなければどうも難しいのではないか。英国の最近の経済政策について解説された残りのページを読みながら、そう感じた。


posted by miura at 14:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日々雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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