住宅専門紙「新建ハウジング」の発行人(社長)が、
住宅ビジネスのヒント・トピックをつづります。


2007年11月15日

ウェブ時代をゆく、雑感

web.jpgウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)を読んだ。

ベストセラーになったウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)を著した梅田望夫氏の新刊だが、副題に「いかに働き、いかに学ぶか」とある通り、ウェブの最新事情とそこに潜むビジネスチャンスを解説するビジネス本ではなく、今後のウェブ時代を指し示したうえでそのなかでどう働き生き抜くかを提案する人生論とも言える内容となっている。

そう書くと、このブログを読んでくださっている皆さんは興味を失ってしまうかもしれないのだけれど、30代・40代の方には特にお薦めの1冊だ。僕自身は、これはまさに自分のための本だ、と感じた。インスパイアされたので新建ハウジングにも1、2本関連記事を書こうと思っている。ここでは、本書から引用をしながら雑感レベルで感じたことを書いてみたい。


著者は自分でも書いているが「楽天主義」(オプティミズム)を貫いている(僕自身「楽天主義」だ)。それに対するいろんな声もあるが、それを基本姿勢にすえているからこそ指し示せる世界がある。例えば仕事や働き方について、本書ではこんなビジョンを示している。
学歴より「いま何ができるか」が問われ、組織を出たり入ったりも自由、再挑戦はいつでも可能で、「個」が生き方を追求できる社会。プロスポーツ選手のように若いときに一生分稼ぐビジネス世界の可能性も開かれる一方、オープンソース的に参加できる職業コミュニティも増える。専門性や趣味の周囲でそれほど大きくないがお金が回り、そこそこ飯が食えるチャンスが広がり、社会貢献も個性に応じてできる。そういう新しい職業環境が大いに拡がっていくイメージを、未来のビジョンとして持ちたいのである。
こうしたビジョンを批判するのは簡単だ。だが、こういう世界にしたいか、と聞かれたら、僕は「したい」と答える。住宅業界に身をおく30代・40代はどうだろう。

どの業界でも同じだとは思うが、住宅業界のこの世代は強い閉塞感と大きな不安を抱えている。市場は成熟し、新築注文住宅についてはすでに縮小しつつある。「普通にやっていれば」しんどい未来しか待っていないので、独立するのにも腰が引ける。一方で、すでにこの年頃で経営責任を担っている人の多くは、現状に押まくられて極端な現実主義者になってしまっているように見える。

でも、このままじゃ人生つまんないな、とか、この業界をこういうふうにかえていけたらな、という気持ちは結構多くの人が奥底の方かもしれないけれど持っているのではないか。

いままでだったら、こうした気持ちを持っていても、実際に人生を変えたり業界を変えたりするのには大変なエネルギーが必要だった。でもいまはウェブがある。ひとつの条件さえ満たせば、できるんじゃないか、という気がしている。


そのひとつの条件は「家が好き」「家をベースに暮らしを提案するのが好き」といった「好き」ということではないか思っている(もちろん「家」にまつわるその周辺が好き、でもいいと思う。僕もそうだ)。

著者もこう書いている。
「オープンソースプロジェクトも、成功するものと失敗するものがあるよね。もちろんほとんどは失敗するよね。その差は何だと思う」と尋ねた。
「成功するかどうかは、人生をうずめている奴が一人いるかどうかですね」と彼は端的に答えた。たしかに、まつもとゆきひろもリーナス・トーバルズも(※注:オープンソースプロジェクトを成功に導いた人)も、「好き」に没頭して起こしたプロジェクトに「人生をうずめて」幸福な生活を送っている。ウェブ進化は、そういうまったく新しいタイプのリーダーを世界の在野から発掘し、その周囲に不思議なコミュニティを作り出し始めているのである。
「人生をうずめる」というのは面白い表現だが、住宅業界のリアルの世界を見ていても、好きでたまらなくてそうしている人の周りには人が集まっているし、成功の規模はともかく食えているし、幸福そうに見える。ウェブ進化を味方にすることで、住宅業界でも、もっとこうした生き方ができるのではないか。


特に工務店を含めた小さな組織であれば、もっと「好きなこと」に「人生をうずめる」ことができるはずで、実はそうすればするほど、幸福な人生に近づくのでは、と思っている。

新建ハウジングにもよく「理想の顧客」に「理想の家」を「理想的な方法」で届けよう、と書くが、たまにそれは難しいよ、きれい事だね、と言われたりする。だが、小さな会社の最大のメリットはその「きれい事」をまっとうできるところにありはしないか。

著者はこう書いている。
会社は「好きなこと」を「やりたいように続けていく」ための枠組みであって、それ以上でもそれ以下でもない。「こうすれば成長できるかもしれない機会」という可能性はスモールビジネス・オーナーにとってそれほど重要な要素ではないのである。


ただ、中途半端な「好き」では、確かに難しいし、きれい事で終わってしまい、周りや顧客を巻き込むことはできない。
手探りで困難に立ち向かうマッドスルー(泥の中を通り抜ける)プロセス自体を、心から楽しんでいなければならない。「できるから」でなく「好きだから」でなくては長続きしない。だからこそ、対象をどれだけ愛せるか、どれだけ好きなのかという「好きということのすさまじさ」の度合いが競争力の源泉となる。

長くなったので続きは追って書こうと思う。


posted by miura at 09:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 読んだ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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