断熱材などを製造するニチアスが準耐火性能試験などで不正を行っていたことが明らかになった。
同社は、繊維混入ケイ酸カルシウム板を用いた軒裏の準耐火性能試験
や間仕切り壁の耐火性能試験で試験結果が有利になるよう、規定よりも含水率の高い繊維混入ケイ酸カルシウム板を用いた不正な試験体を使用。試験に合格し、大臣認定を受けていた。
ニチアスによると、不正に認定を受けた構造方法は20件で、そのうち16件が自社試験で耐火性能を満たしていなかった。残りの4件については、性能を満たすことが確認されているが、改めて性能評価機関での試験を行う。
国土交通省は、性能を満たしていない16件の構造方法について、10月30日付けで認定を取り消した。
住宅用で認定が取り消された製品は、準耐火45分、60分の住宅用軒裏天井材「防火のき天」。出荷実績は約4万棟。また、準耐火30分の住宅用軒裏天井材「防火のき天」は性能を満たしているが改めて試験を実施する。出荷実績は約6万棟。
次号の新建ハウジングでも取り上げるので、ここでは住宅業界に向けてポイントのみまとめておきたい。
1 住宅産業に対する不信感が再び高まるのは必至。「偽装」が再びキーワードになる。信頼回復の取り組みが必要に。
2 今回も他の食品偽装と同じ構図。社内では把握しながら販売を継続。匿名の投書で発覚した。企業姿勢が厳しく問われることに。
3 同社の他の大臣認定品、さらには他社の大臣認定品、さらには大臣認定品以外の資材の品質についても何らかの不正・偽装が明るみに出る可能性も。それも内部・外部の匿名通報によって。
4 大臣認定についてはその審査方法、チェック体制についても再考が求められることに。その過程で新たな問題が出てくる可能性も。
5 ニチアスは補修費用の負担によって経済的にも大きなダメージ。企業イメージの低下とあわせ企業存続級のピンチに。
結局、コンプライアンスの遵守、顧客・消費者重視の姿勢が企業の基本で、そこを踏み外した企業に明日はない、ということだ。
ただ業界としてもうひとつ考えるべきは、この情勢下における利益とコストと品質の問題ではないか。職人の賃金もそうだが、住宅会社側があまりにも調達先・協力会社にコストダウンを求めすぎてはいないか。行き過ぎた価格競争のしわ寄せは下へ下へ行く。今後その弊害がさらに明るみ出てくるような気がしてならない。
また、同社は大手住宅会社向けの出荷が多く、同社製品を採用している工務店は少ないと思われるが、工務店は確認のうえでホームページ・ブログで製品の採用状況をOB施主・見込み客に向けて告知していただきたい。
三浦さんが書かれております、
「ただ業界としてもうひとつ考えるべきは、この情勢下における利益とコストと品質の問題ではないか。職人の賃金もそうだが、住宅会社側があまりにも調達先・協力会社にコストダウンを求めすぎてはいないか。行き過ぎた価格競争のしわ寄せは下へ下へ行く。今後その弊害がさらに明るみ出てくるような気がしてならない。」
という意見は誠にそうだと痛感致します。
自由競争社会で、
様々な企業が競い合うことは当然ですし、
勿論垂直的な企業関係での値決めや、
水平的な企業関係での値決めもいけませんが、
業界全体での視点も必要な気がします。