住宅専門紙「新建ハウジング」の発行人(社長)が、
住宅ビジネスのヒント・トピックをつづります。


2007年03月12日

IKEA超巨大小売企業、成功の秘訣

3.20VR.JPGIKEA超巨大小売業、成功の秘訣を読んだ。

キャッチフレーズは「世界一企業が編み出す”儲けの秘密”をすべて明かす」。北欧デザイン、徹底したローコスト経営、卓越したオペレーション―世界のインテリアを変えていくIKEAの実態を奔放初公開。


労作であり、IKEAをビジネスの観点で知りたければこの1冊で大半をカバーできる。

目次は以下の通り。

第一部 IKEAの軌跡
1 商売が好きだった
2 17歳の社長
3 カタログ販売の成功とフラットバック
4 鉄のカーテンの向こう側で
5 キャッシュ・アンド・キャリーの原則
6 徹底した節税
7 ヨーロッパ各国への進出
8 財団法人が支配する会社
9 事業拡大と新コンセプト
10 超巨大小売業へ
11 巨大市場、中国への進出
12 資本主義の伝道者
13 三人の息子たちへ

第2部 IKEA成功の秘訣
1 価格
2 スタイル
3 スウェーデンカラー
4 DIY
5 カタログ
6 ホットドッグ
7 田舎
8 カリスマ
9 ”安い国”の徹底利用
10 節税
11 危機管理


第1部はIKEAの軌跡を創業者の生い立ちから描いている。第二部はIKEAのビジネスモデルの研究。せっかちの人は第2部から読んでもいいかもしれないが、軌跡を知ったうえでモデルを研究すると、なるほど、と思うはずだ。


帯に「カリスマ創業者による経営の鉄則」が紹介されている。面白いので以下に抜粋してみる。苛烈だが、住宅産業の経営者にも参考となりそうだ。

・儲けすぎるということはありえない
・株式公開はしない
・税金は最小限に抑える
・コストは限界まで下げ、品質との最適バランスを探る
・借金はなるべくしない
・従業員は働く喜びを持て。仕事以外には関心を持つな。会社を離れた趣味を持つな
・常に”別の路線”をとれ
・フレキシブルな生産体制を敷く
・消費者を工場の一部にしてしまえ
・コスト高でスタイリッシュな家具なんて意味がない。安価でいいデザインを考えろ
・メーカーとは徹底的に交渉しろ


読みどころは満載だが、個人的に興味を持ったのは以下。

イケアはただの家具店ではない。ここはライフスタイルを学ぶ場所でもある。自社の宣伝ラベルに、「あなたにライフスタイルを提供する」などと宣伝文句を貼り付けている企業がよくあるが、イケアはこんな企業とはレベルが違う。「ただ住んでいるだけ?それとももうちゃんと生活している?」イケアがドイツで流したコマーシャルフレーズの一節である。
まずは、北欧デザインをインテリアに提案した、ということがひとつ。大げさに言えば、IKEAの登場で世界の家具インテリアスタイルは大きく変わった。

もうひとつは、イケアの登場によって、家具一式を丸ごと買い、一生使うという欧州で一般的だった固定観念が変化し、「チェンジングルーム・ジェネレーション」を生み出したこと。「チェンジングルーム・ジェネレーション」というのは、2年に一度程度トレンディーなローコスト家具―つまりIKEAの家具で模様替えすることをいうらしいが、その文化をもたらしたということだ。確かにこれはライフスタイルに大きな影響を与えたと言えるだろう。

もちろんこのことにこのことに関する批判は山のようにあって、本書にもそれが紹介されている。「多くの人にとって家具というものが、簡単に交換できる流行廃りものになってしまったのはイケアのせいだ」とか。実際、IKEAの家具はデザインとコストに主眼が置かれ、品質も一般的なコストパフォーマンスを超えるレベルではあるが、一定期間しっかり使えればいいという割り切りでつくられているという。

だが、インテリアを気軽に、自分たち自身で、安く楽しめるようになったのは、価格破壊を進めたIKEAのおかげであり、その影響は日本にも及び始めている。

個人的には、一生モノのいい家具を長く大事に使うことを否定しない。だがそれは家具を見る眼が培われてからでもいいと思っている(そしてこの部分には建築家・工務店のサポートの余地があるとも思っている)。

一番もったいないなあ、と思うのは、家づくりやリフォームにお金をかけすぎてインテリアに回す余裕がなく、ホームセンターの格安家具で間に合わせている姿だ(あと、家のスタイルに合わない婚礼家具を使っているのもしんどそうだ)。せめてIKEAレベルを、と思うし、IKEAでインテリアを楽しんでいるうちに、もっといい家具が欲しくなってくるはずだ。そんなときに一生モノのいい家具を、少しずつでも揃えていけばいいのではないか。


IKEAに関心のある住宅人には一読をお勧めしたい。


posted by miura at 14:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 読んだ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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