住宅専門紙「新建ハウジング」の発行人(社長)が、
住宅ビジネスのヒント・トピックをつづります。


2014年04月13日

前川國男のプレハブ住宅「プレモス」

前川國男自邸内観

前川國男自邸


[2011年の記事の再掲です]
記者になったとき教科書として手に取った「昭和住宅物語」(藤森照信)は定期的に読み返す愛読書のひとつです。
先日も読み返していたら、前川國男の記述のところに気になる一説を見つけました。


前川が「プレモス」と呼ぶ木造の量産住宅に取り組み、結果として失敗したことは、前川の建築をたどったことのある人にはよく知られた事実だと思います。
プレモスは床壁をパネル化した木の小さな箱で、小さな家のプロダクトと言えるかもしれません。
もの自体は終戦直後(昭和21年)ということもあり、前川らしい魅力はそれほどなく代替住宅的に使われたようですが、1000棟を生産して役割を終えました。


藤森氏は「昭和住宅物語」のなかでこう書いています。
(前略)プレモスが、前川國男というモダニズムのエースにより手掛けられながら結局失敗に終わった、ということろに僕は感慨を禁じえない。
なぜかと言うと、戦後の時間を一貫して、日本のモダニズム建築家の中には、「量としての住宅に取り組まなくてはならない」という、国民のために働く建築家としての使命感があり、また「住宅を工業生産のラインに乗せてみたい」という工業化の時代に生きる建築家としての夢があり、この使命感と夢が結合すると「プレハブ住宅の開発」という行動に向かい、そしてなぜか必ず失敗する。
国民のために働く建築家としての使命感。現在の建築家、設計者の使命感はなんでしょうか、あるのでしょうか、と偉そうに思ったりします。


このプレモスはニッサンを一代で築いた鮎川義介が関わったことでも面白いプロジェクトでした(最後は決裂したそうですが)。この点についても藤森はこう書いています。
モダニズムという建築思想はそのスタートのときからいつも<車>というものをヒリヒリするくらいに意識してきた。<建築と技術>というテーマを建てるときは常に車のことが頭にあった。飛行機でも船でもなく、「動く居室」的な性格を持つ車こそもっとも建築に近いと考えられながら、しかし一方、その製造方法が建築と違って徹底的に工業化されているという点が、建築家をしてますます車にのめり込ませてきた。



さらにこう続けます。なるほど、と思う部分です。
「車のように住宅をつくりたい」
この夢を一度も見なかったモダニストは少ないと思う。プレハブ住宅の開発に取り組んだ建築家は、大げさに言うと、みな車に片想いし、結局、結ばれることなく恋に破れながらバスユニットとかなんとかを手掛けて、自分を慰めてきたのだった。



社会的使命感(「量」ではない違う使命感―僕はコストパフォーマンス向上だと思っています)と夢は、まさにいま結合する可能性があるのではないか、と考えています。

posted by miura at 19:21| 住宅ビジネスのヒント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。