たとえば、新建ハウジングの連載をお願いしている塩地博文さんが事務局長を務める「あたり前の家」ネットワークでは、いまや小さな家の第一人者とも言える建築家の伊礼智さんと伊礼さんの物件を多く施工し小さな家の自社物件も多い田中工務店の田中社長さんを講師に迎え、小さな家の勉強会を続けていて、僕も参加してきました。
そこでは小さな家の設計施工ノウハウの共有にとどまらず、ビジネス展開も含めた様々な可能性が議論されています(講師のお二人の話は工務店さんにはとても参考になると思います。仕事の質の高さも刺激になるはず)。
そこでのテーマのひとつに小さな家のプロダクト化があります。ただ、このネットワークでも明確な方向性が出るには時間がかかりそうです。
僕自身は、小さな家ほど、豊かな空間を実現するために、設計の練りこみと家具を含めた作りこみが大事で、それを住まい手の要望を「ハイ喜んで!」とすべて飲み込む完全な注文住宅のスタイルで実現することは難しいと考えます。ある程度プロダクト化して、これでどうでしょう?と提案するのがいい。コストダウンにもつながるはずです。
ただ、家は敷地の読み込みとそれを生かした設計が基本で、完全に規格住宅化してしまうと、敷地の特性を生かした住まいにならない。こことプロダクト化のバランスをどう取り、小さいけれど豊かな空間を、どうリーズナブルに提供していくか。ここはまだまだ検討の余地がありそうです。
ただ、リーズナブルと言っても、僕は小さな家のプロダクト化=「安いが狭い狭い量産型規格住宅」とは考えていません。こうした小さな家はすでにパワービルダーが出し始めていますし、今年はローコストビルダーなどが乱造しすぐにコモディティ化するでしょう。
そっちではなくて面積を絞ることで高品質×リーズナブルを実現する。そもそも、そんなにたくさん部屋がいるのか、小さな空間にも楽しさ・豊かさはある、と思っていますし、大げさに言えば、これからの日本人に向けたライフスタイル提案だと思っています(本来の暮らしに帰ると言ったほうがいいかもしれませんが)。
ただ、ある程度の量産というかプロダクト化というか、ベーシック住宅の普及とかは必要だと思っていて、昨日お会いした尊敬する工務店の経営者の方も同じような考え方をもっておられ、しかもウルトラCのアイディアで普及する方法も検討されており、おお、と思いました。
長くなったので、プロダクト化については追って書きたいと思います。