[2011年のブログ記事を加筆したものです]
「差別化」というのは「差別」という語句が入っているのでいい言葉ではありませんが、すべての会社、すべての人に必要だと思っています。
他の会社、他の人と「区別」されなければ、「その他大勢」に埋没してしまいます。
それでいい、没個性こそが生き方という会社や人はそれでまったく問題ないと思いますが、マズローも言っているように人はあるレベルから自己実現、存在証明を求めるようになりますから、個性的であることを目指すようになる。それには差別化が必要です。
また、会社にとっては、「その他大勢」に陥ってしまうと、いばらの道を歩むことになります。差別化=強みが顧客に伝わらない状況で顧客に選ばれようとすれば他社より安くするしか、顧客に奉仕し尽くすしかなくなっていきます。
そこを強みとするのならいいのですが、価格競争や奉仕競争は、言葉はあれですが顧客はどんどん「王様化」していき、売り手はひとすら「ドレイ」化していくことになります。
差別化の方法としてしは
1 人より上手くやれるようになる
2 人のやらないことをやる
のどちらか、もしくはこの組み合わせだと思っています。
「人より上手くやれるようになる」ということは「地力」(じりき)を付けるということです。家づくりにおいては、設計力を高める、ということがその代表で、実際設計力を高めたつくり手は顧客に支持されていき、受注も伸ばしています。
「人のやらないことをやる」というのは、よく言われる「ブルーオーシャン」に行こうということです。ですがこれは簡単ではありませんし、リスクも大きい。それに突飛なこと・奇抜なこと=ブルーオーシャンという勘違いもあります。
ブルーオーシャンというのは、要は新しい価値・新しい満足を提供するということで、イノベーションの裏返しだと思っています。
一番簡単で確実なブルーオーシャン・イノベーションの実現は、新しい価値・新しい満足を既存技術の組み合わせで実現すること。これをうまくやっているのがアップルです。
僕は「交差点」という言い方をしていて、既存の家づくりに何をクロスさせるか、と考えるとイメージしやすい。たとえば、ベタな例ですが、家づくりに「健康」をクロスさせると「健康住宅」になる。今まで家づくりとクロスすることがなかった新しい何かをクロスさせることができれば、それだけでイノベーション=ブルーオーシャンは可能です。
また、差別化は一点で行うものではなく、差別化ポイント(強み)の組み合わせによってで雪だるま的に大きくし、簡単には真似のできないユニークなスタイルを構築することを目指します。
その際大事なのが「一貫性」です。
差別化ポイントをたくさん導入しても(FCやノウハウ販売によって)その組み合わせに「一貫性」がなければ、雪だるまとならずスタイルも構築できないということになります。そんなつくり手も姿を見ることも少なくありません。
そう考えると、差別化とは「やらないことを明確にする」ということで、それイコール「「フォーカス」(絞り込み)ですが、これはとても勇気がいることです。また、地力を高めるうえでも、ひとつの分野へのフォーカスが不可欠です。
フォーカスへの不安の中で心を強く持つには、価値観や美学、そしてそれを社員や顧客に伝える理念・ビジョンが必要です。また、一貫性を保つのも価値観や美学、理念・ビジョンです。
つまりは結局、価値観・美学が差別化の基本だということで、それを持たない会社や経営者が「真に」差別化をするのは難しいと考えています。
ただし、規模とフォーカスのバランスは大事で、一定以上の規模の収益を目指すなら、マスマーケットでの差別化を追求する、キャズム越えを目指す必要があると思っています。
posted by miura at 16:27|
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